北里大学北里生命科学研究所・大学院感染制御科学府
生物有機化学研究室
Kitasato University
Kitasato Institute for Life Sciences & Graduate School of Infection Control Sciences
Laboratory of Bioorganic Chemistry

The Sunazuka Group Japanese/English

 当研究室では、学祖北里柴三郎先生の「実学の精神」を基盤に、社会に還元できる研究成果を目指しています。具体的には、北里研究所にて見出されたユニークな天然物をもとに有機合成化学を用いて誘導化を行い、医薬品•動物薬•農薬への創薬展開を行っています。以下はその一例です。


2021.07.02 プレスリリース
「北里研究所とMeiji Seikaファルマとの次世代型イベルメクチン誘導体によるCOVID-19に対する画期的治療薬創出と抗ウイルス薬の基盤構築を目的とした共同研究開発の開始について」が発表されました。
https://www.meiji-seika-pharma.co.jp/pressrelease/2021/detail/210609_01.html

当研究室において、北里研究所の大村らによって発見された天然物ピリピロペンを基盤とした誘導体展開を行った結果、高い安全性•環境への負荷が少ない農薬が開発されました!

産学協同プロジェクトによる成果を以下に掲載します。

95 Pyripyropene A.pdfMeiji Seika ファルマ株式会社ドイツのBASF SEが、2010年5月25日付で、Meiji Seika ファルマ株式会社が開発中の農業用殺虫剤 ME5343に関するライセンス契約を締結しました。この ME5343 は、当研究室とMeiji Seika ファルマ株式会社との共同研究で見出した天然物由来の半合成化合物であり、アブラムシ類に著効を示し、コナジラミ類、カイガラムシ類にも高い効果が期待されます。適用作物として、野菜、果樹、豆類、小麦等が考えられ、作物への直接散布の他、種子へのコーティング等、幅広い使用方法が可能である。また更なる特徴として、動物への安全性が高く、ミツバチや対象害虫の天敵となる有用な環境生物等への影響が極めて少ないこと、また、分解が早く作物や土壌への残留が少ないため、環境への負荷も少ないことが挙げられます。本化合物は対照剤に優る圃場効果と哺乳動物に対する高い安全性を有し、環境への負荷が少なく総合的害虫防除管理(IPM)に適合した非常に有望な薬剤です。2016年4月8日を以って米国環境保護庁の農薬登録を申請し、2018年10月3日に農薬登録を取得しました。同年7月に世界の主要市場であるオーストラリアとインドにおいて販売が開始され、今後はカナダ、メキシコ、アルゼンチン、中国等での登録取得を予定しています。
上記内容についての動画
1) Sefina-Insectiside
2) Introducing Inscalis@ Insectiside

Pyripyropene.pdf